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コットンパフ

行を変えるのが下手です

マスカットエンジェルについて

盆と正月は、毎月第二金曜日あたりに公開制作というイベントをやっているのですが、前回、そこで私が大学の同級生に恋に落ちて自滅していくまでの話をしました。

そこで話したものを文章化しました。

ファミレスで、隣の隣に座ってる声の大きい女子大生の話が勝手に耳に入ってくるような感じで、ミッチリ書きすぎて読みにくいと思いますが、暇なときに電車とかで読んでみてください。あんまり爆笑するところはないです。5000字くらいあります。

 

次の公開制作は2016年3月3日金曜日、桜川enviroment 0gにて行います。

またこういう恋に落ち破壊していく話をする予定なので、予習としてもどうぞ。

 

 

 

 

「ああ、その片思いしてた人とは、終わったっていうか、付き合うこともなかったっていうか、うん、一応、振られたんだけど、それまでがちょっと変わってて。うーんなんというか……、もうその人とは全然関わりないんだけどね!うん、学部が一緒だからたまに挨拶するくらいで……。

これ聞いて、エミは多分退かないと思うんだけど、それでもやっぱり今冷静に考えておかしかったと思う……。これ、誰かに話すのはじめてかも。大学ではさぁ、やっぱりいろんなこと考えて、こういう身近すぎるとこの話ってできないじゃん。今後の人間関係に支障をきたしそうで怖いし。なんか、エミに吐き出すみたいになっちゃうな。ごめんね。

 

その、大学で気になってたって人は佐治くんって言って、同じ学部の人なの。前、どこまで話したっけ?友達の友達で、お互い面識はあって顔と名前は一致するけど、話したことはそんなにないような感じ。なんというか、一目惚れ?かっこいいから仲良くしたいっておもっててさ。一年の終わりくらいからずっと。まじで邪だよね。

そしたら後期始まる前くらいかなぁ、学部の飲み会に呼ばれて、そこに佐治くんも来てたの!私嬉しくて、なんとか話しかけようと思ったんだけど、席も遠くてそんなに話せなくて。でもその時、佐治くんにお水渡しに行ったらかわいい顔で笑ってありがとうって言ってくれてね!え、佐治くんの顔?あのー、塩顔なんだけどちょっと甘めっていうの?塩キャラメル顔?いや今私が勝手に作った造語です。一重だけど印象キツくないっていうか、タレ目だからかな?向井理系とはちょっと違うかな〜、とにかくかっこいいよ。好みは分かれるかもしれないけど!

それでね、二次会でカラオケ行くことになったの!その時私がんばって佐治くんの隣に座って、というか友達が気を利かせてくれたんだけど。いや私も頑張ったよ!佐治くんの隣座るぞというオーラ出したよ!隣に座ったら、佐治くんまたかわいい笑顔で「飲み物、一緒に取りに行こうか」って言ってくれたのー!それで一緒に取りに行って、佐治くんは紅茶飲んでて、私はなんか動揺しちゃって、メロンソーダいれようとして白ぶどうジュースいれちゃって、メロンソーダと混ぜちゃったんだよ。それ見て佐治くんは「混ぜるのたのしいよねー」ってまたニコニコしてて!ほんと佐治くんの笑顔は世界を救うと思う……。

で、部屋に戻ったら、佐治歌えーってみんななって、佐治くんめっちゃ歌うまいの、ポップミュージック研究会っていう、軽音系のサークルに入ってて、バンドやって自分で曲も作ってるんだよ。佐治くん、はにかみながら、「じゃあ、一曲」って歌ったのがカジヒデキのマスカット!!ほんと最強にかわいい曲で、すぐツタヤでカジヒデキ借りてそれ聞きまくった!僕のマスカットエンジェルって歌詞があるのね。ああ、マスカットエンジェルになりたい佐治くんの、と思った……。それでポーッとしてただけなんだけど、佐治くんが「顔が赤いよ、酔っちゃった?僕もちょっと明日早いから2人で帰らない?」って言ってくれたんだよね……。もう舞い上がるよね、私が顔赤いのはおまえのせいだよ!!っていう。そのまま2人で、他の人が帰るタイミングで一緒に出たの……。うん、2人きりじゃなかったんだ……。でも、電車乗るときは2人きりになったから、そこでメアド交換したよ!赤外線通信の赤外線初めて目に見えた、いやほんとマジだから、赤かった、赤い糸が私と佐治くんのケータイ繋いでたから。それでバイバイして、その日はそんな感じ。でも本当に神様っているんだって思った。私と佐治くんの巡り合わせはこの日のためだったんだって思った。あ、佐治くん、私のことみなみちゃんって呼んでくれてることが判明して、昇天した。

それから、たまに同じ授業一緒に受けたり、生協で会ったらそれからちょっと話したり、毎日毎日会えるってわけじゃないけど幸せだったなぁ〜。で、ある日、カジヒデキいいねーって言ったら、佐治くんすごい喜んで良かったらCD貸すよー!って!私もう粗方ツタヤで借りてたんだけどさ、嘘ついて全然CD持ってない貸して貸して!!って言って借りる約束したの。そしたらカジヒデキのアルバム全部と、ピチカートファイブと、小沢健二も貸してくれて、「僕が好きだから、良かったら」って!もう擦り切れるほど聴いたよね。ほとんどが明るくて素敵な恋の歌でね、こんな風に佐治くんと愛し愛されて生きていけたらなぁと思ったぁ……。うん、本当に私佐治くんにべた惚れしてたよ。ちょっと、キモいくらい。二十歳超えて、王子様がやっと現れたって思ってたもん。

……CD返す時だった。佐治くん、バンドやってるんだけど、やっぱりそういうことしてるとお金に余裕がない、そんなこと言ってて、欲しい機材が二万円くらいって話をしてて。ここで謎の奇跡が起こるんだけど、私その時二万四千円持ってたんだよね……。やることなくてバイトしまくってたから普通の大学生より余裕あったの、あんまりお金も使わないし。サークルもだから、そこでなんとか佐治くんを繋ぎとめたくて、良かったらお金貸そうかって。言っちゃった。最初、佐治くんは本当に申し訳なさそうに断ってたんだけど、私があんまりにサラッとしてるから、じゃあすぐ返すってなって、そのまま楽器屋さんに行ってその機材買ってあげたの。本当に必要なものだったみたいで、佐治くんすっごく嬉しそうだった。あぁ、こんなところ見られるならずっとお金出してもいいなんて思ったよ。だから、困ってるときはいつでも言ってねって伝えた。佐治くんはそれも困った顔で聞いてた。

それから、なんとなく顔を合わせたら三回に一回は楽器屋さん行くようになって。半年くらいかな。そんなことしてた。佐治くんはいつも申し訳なさそうな顔をしながら、私を楽器屋さんに連れていってくれた。私、あんまり楽器ってよくわかんないんだけど、佐治くんは、これはこうやって使うんだよとか、これは誰々が使っていたギターと同じ形のやつで、その誰々っていうのはどういうバンドをやってて今はこういうことしてて、ってそんな話をずーっとしてくれてた。

楽器屋さんに行った後はいつもカフェに寄る流れになってて。佐治くんはオシャレな店に詳しいんだけど、1人で入るのは恥ずかしいって照れてて可愛かった。まぁ、結局いつも、同じお店に行ってたんだけどね。そこで、私は抹茶ソイラテで、佐治くんはカフェオレのホットを毎回頼むようになって、佐治くん、いつからか、注文前に「みなみちゃんは、抹茶ソイラテでいい?」って確認してくれるようになって、それがもうたまらなく嬉しくて、たまには別の飲みたいとかそういう気も起こらなかったよ。話が長引いて、夜の七時過ぎると、「トーキョーは夜の七時だ!」って2人で笑ったなぁ。今、待ち合わせしてもレストラン潰れてないしねーって言うのが定番でさ、今思うと何が面白いんだって感じだよね……。あ、ピチカートファイブに東京は夜の七時って曲があるの。うん。だからこういうつまんないことも楽しくやっちゃうんだよ。ほら、新宿で豪雨だと、あなた何処へやらって思うでしょ?今日が青く冷えてゆく東京でしょ?戦略は皆無でしょ?……そういうので言えば、学部のみんなと表参道行く用事があって、うん、なんかレポート的なね、アレなんだけど。佐治くんと私だけみんなと離れて、「寒い冬じゃないけど、ダッフルコート着てないけど、原宿あたり風を切って歩いてる!」って笑いながら歩いたりした。周りでそういう音楽好きな人ってあんまりいなかったから、大人数になればなるほど、こういう二人にしかわからない話で内緒話みたいにクスクス笑ってるのは、ちょっと優越感あったよ。そう、こういう歌詞があるの。小沢健二

そんな感じでね、ちょっと、歪んではいるけど、カフェにいるときは、ずっと好きな音楽の話をして、くだらないことで笑って、恋人同士みたいでいられて嬉しかった。ほんとにね、佐治くんはどう思ってたかわかんないけど、後に引けなくなってたんじゃないかなぁ。……いつかこの関係は終わらせなきゃなんないけど、終わったら一体どういう風にして私たち関わっていけるんだろうって、私は思ってた。お会計別々にして、駅までゆっくり歩いて、同じ電車乗って、途中で降りてバイバイして、それだけだったら本当に良かったよね、きっとさ。まぁ、もちろん終わりはくるんだけど……。

テスト終わったくらいかな、勉強もしなくちゃいけないのに、バイト先に頼まれてシフトめっちゃ増やされてヘロヘロになってて、あんまり佐治くんとも会えてなかったときに、学校のカフェに佐治くんいるの見えて、ワーッて寄ってっちゃったんだけど、そこで、ふみちゃん、あ、ふみちゃんっていうのはうちの学部で1番くらいモテる子で、結構悪い噂も良い噂もあるタイプの子で、まぁ佐治くんも顔キレイだから狙われてたっぽいっていうのも聞いたことある。で、そのふみちゃんに、カフェでコーヒー買ってあげてるの見ちゃったのね。あ、いや、違うの、私には奢ってくれないのにとかそういうんじゃなくて。私のお金は本当に活動費になってたわけだし、別にそこに見返りを求めてたわけじゃなかった。でもそこで、本当は佐治くんにコーヒー、……コーヒー飲めないから抹茶ソイラテ、買ってもらいたかったんだなーって、そんな、自分にそんな気持ちがあることに、気づいちゃって。本当は、見返りを求めてた自分がいたことがわかっちゃって。ただ、応援したかっただけなのに、力になりたかっただけなのに、一緒にいる口実がほしかっただけなのに。それがすごく、苦しくて。そんなの佐治くんにしてほしいなんて一緒にいて思ったことなかったのに。あんな、あんなとか言ったら失礼だね、佐治くんのことよく知らない子に、佐治くんが、って思っちゃってさぁ……。なんなんだろうね、私。佐治くんはすぐ私に気づいて、いつもみたいにかわいい笑顔で、今日は冷えるねとか、テスト終わったしまた神保町あたり行こうと思うんだけどとか、最近会えなかったねとか、たくさん声をかけてくれたんだけど、もう、私そのとき、正常に頭働いてなくて、佐治くんに対して言っちゃったんだ、「ふみちゃんに、コーヒー買ってあげたんだね」って。もう、すぐ誤魔化せばよかったのに、佐治くんがハッとした顔するの見たら、なんかもうダメだなぁって。気づいたら、ほんとに自然に、「私も、佐治くんにコーヒー買って貰いたかったなぁ」とか言っちゃってた。

そしたら、佐治くん、すぐに謝ったの。みなみちゃんごめんね、ってさあ、もうなんにも言えないじゃん。そんなの、私が勝手に突っ走ってただけなんだって嫌でも思い知らされるじゃん。佐治くんは、歪んでることわかってたけど、それでも麻痺してたんだよ。私との関係がおかしいこと。私も麻痺してたし歪んでた。でも、きっと、佐治くんをそんな風にしたのは私なんだよね、佐治くん本当はそんな人じゃないんだよ。ピュアで、優しくて、才能があって、お金出してもらってラッキーとか思う人じゃないんだよ。

私が、もういいよって、もう無理だねって返したら、佐治くんは物凄く泣きそうな顔になってて、あーかわいいなぁとおもうんだけど、そういう気持ちしか出てこないのも、人間の防衛本能だったのかなあ。もう、どうしようもないんだなぁって思ったから、好きになってごめん、って言った。その時、自分がどんな顔していたかわからないけど、でも、目の前の相手は確実に困惑してて、それが少し、気持ちよくて、気持ち悪くて、しんどくて、なんか、こんなので終わるようなことなんだなーって。好きなんて目に見えないのに、それを利用した気になって辛さを感じるような人だったから。佐治くん。佐治くんはずっと、私が帰るまで泣きそうな顔してたよ。

あの時佐治くんがお金に困ってなければ、私が変な提案しなければ、普通にカフェでお茶して、佐治くんの音楽の話を聞いて、明日の授業一緒に出る約束とかして、もしかしたら普通に彼女になれてたのかなぁ。いや、佐治くんけっこうモテるから、一生忘れられないえげつない気持ちにさせたことに関しては、人より優位に立ってるのかもしんないけどね……。まだ、私は歪んでるかなぁ。

佐治くんは今でも音楽やってて、路上ライブも前やってたところでやってるのを見る。でも、堂々と見る勇気はないし、これからどうこうっていうのも多分ないだろうね。もう言ってる間に就活だしさ。佐治くんはずーっと音楽続けるみたいだから、いつか、テレビとかラジオとかで、佐治くんの名前聞けたらなぁって、そういうことは思う。

佐治くんのバンド?テトラポットメロンティー、名前もおしゃれだよね。え?アモアムに載ってんの?!そっかぁ……なんかもう手の届かない人になっちゃうや。テレビとかも出るのかなぁ。そっかあ……」

 

 

 

 

(お察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、モデルは映画版DMCのオシャレな後輩こと佐治秀紀さんです)

(女の子のモデルはいません)


テトラポット・メロン・ティ - サリーマイラブ